- 2025年9月15日
- 2025年9月16日
なぜ医者は生活指導をしないのか?ー“酒をやめろ”と言われない理由ー
なぜ医者は生活指導をしないのか?
病院に行くと、血液検査や薬の処方はあっても「食生活を変えましょう」「お酒をやめましょう」といった具体的な生活指導を受けることは少ないのではないでしょうか。
私自身も、他の医師が患者さんに栄養や生活習慣の改善をしっかり伝えている場面を、これまでほとんど見たことがありません。
では、なぜ医者は生活指導をしないのでしょうか。
医者が生活指導をしない主な理由
① 短すぎる診察時間
多くの外来診察は1人あたり5〜10分程度です。検査結果を説明し、薬を処方するだけで時間が終わってしまい、生活習慣について丁寧に話す余裕はほとんどありません。
② 医学部では栄養を学ばない
医学部では薬の知識や病気のメカニズムは学びますが、栄養や生活習慣改善について学ぶ機会は、あってもほんのわずかで、実際には無いに等しいレベルです。医師自身が「どう生活指導をすればいいか」を体系的に教わっていないのです。
③ 患者に嫌われるリスク
「お酒をやめた方がいいですよ」「砂糖はゼロにしましょう」と伝えた瞬間、患者さんの表情が曇ることは珍しくありません。なかには「生意気な医者だ」とクレームを入れる方もいて、実際に私自身も始末書を書かされたことがあります。
さらに多くの患者さんはこう言います。「他の医者からは酒をやめろなんて言われなかった」「砂糖がいけないなんて聞いたことがない」 と。実際、他の医師は「ほどほどに」「控えてください」といった曖昧な表現しかしないのが現実です。だから私のように具体的に伝えると、どうしても浮いてしまうのです。
④ 新しい挑戦を許さない空気
医療の世界では、オーソモレキュラー医学のような考え方はなかなか受け入れられません。多くの医師は「病気になったら薬を飲むものだ」と信じ、その考えのまま10年、20年と臨床を続けてきました。
しかし実際には、薬で病気が根本から治ることはメカニズム的にあり得ません。 薬は症状を一時的に抑えるために設計されており、病気そのものを消し去る働きはないからです。
実際、毎年のように新しい薬・素晴らしい薬が発表されていますが、それ以上の速さで患者は増え続けています。この事実をどう受け止めるべきでしょうか。
それでも、その価値観を改めることには多くの医師が強い抵抗を感じています。
⑤ 多数派に逆らえない風潮
医療の現場には、「周りのみんながやらないことをやるな」という同調圧力が強くあります。
実際にはオーソモレキュラー医学に取り組む医師も少数ながら存在しますが、多数派がそうでないために「異端扱い」されやすいのです。
しかし、多数派が正しいとは限りません。 歴史を振り返れば、かつては天動説が常識であり、地動説を唱える人々は少数派でした。それでも、正しかったのはどちらだったでしょうか。
医療においても同じです。少数派だからといって誤りとは限らず、むしろ新しい視点や方法が未来の医療を変えていく可能性があります。
ほどほどの落とし穴
多くの患者さんは「自分はほどほどにしている」と思っています。
「毎日飲んでいたお酒を週に3回に減らしたから控えている」「甘いものも前より少なくしているから大丈夫」といった具合です。
しかし、実際にはその “ほどほど”の量こそが病気を作り出しています。
糖尿病や高血圧、高コレステロール血症といった典型的な生活習慣病はもちろん、がん・変形性関節症・片頭痛・生理痛(PMS)などの疾患、あるいは「何となくだるい・疲れる」「最近眠りの質が落ちた」「肌にハリが無くシミ・シワが増えた」といった身近な不調も生活習慣と深く関わっています。
また、まだあまり知られていませんが、近年急増している精神疾患についても、砂糖やカフェインとの関連が示唆されています。実際に臨床の現場でも、不安障害やうつ病を抱える方の多くがコーヒーや甘いものを常習的に摂取している姿を目にします。
さらに、「遺伝だから仕方ない」というのは誤解で、本当に純粋な遺伝性疾患はごく一部にすぎません。
典型的なのが肥満です。昔の日本人に肥満がいなかったこと自体が、遺伝ではなく生活習慣が原因である証拠です。
問題は、本人がそれを自覚していないことです。
人間は誰でも、都合の悪いことを指摘されると耳を塞ぎたくなります。そのため私が「お酒はやめましょう」「砂糖はゼロにしましょう」と伝えると、「高圧的だ」「生意気だ」と受け止められ、時にクレームに発展することさえあります。
けれど現実には、「控える」では不十分です。
タバコを1日20本から10本に減らしても体に悪影響が残ることは誰でも知っています。同じように、アルコールや砂糖も “控える”ではなく“やめる”以外に健康を取り戻す方法はありません。
耳に痛い言葉を避けている限り、病気は決して改善しません。
厳しいようですが、ほどほどの生活を続けるかぎり、体は少しずつ確実に壊れていくのです。
それでも伝え続けたい理由
こうした背景から、多くの医師は生活指導を避け、薬を出すだけになりがちです。
しかし、それでは本当の意味で病気を克服することはできません。
私自身は、栄養や生活習慣の改善を通じて体を本来の状態に戻す「オーソモレキュラー医学」に出会い、その重要性を実感しました。
薬だけに頼るのではなく、生活を変えることでこそ人は健康になれる――その現実を伝えたくて、このブログを書いています。
このブログでは、耳に痛いことも正直に書きます。でもそれは、健康を取り戻してほしいという思いからです。読んでくださるあなたの生活が少しでも良くなるきっかけになれば嬉しいです。